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セクシュアリティに関わるよくある質問

 六色は、講座に赴く際に、よく事前にアンケートを実施しています。こちらは、その事前アンケートでお問合せがあった、質問・疑問を、すべてリライトした形でお答えしています。あくまでも、六色個人がこれまでの経験や学習で学んだことをベースにお答えしています。

 あなたにとって、必ずしも正解でなかったり、状況にそぐわないこともあるかと思います。ぜひ、ここに書かれてあることがすべてだとは思わずに、あなたの周囲にいる信頼できる人であったり、ホームページに掲載している相談機関やコミュニティで出会う人たちに、相談してみてください。

Q1. 友人に、自分はLGBTだと言われた。どうすれば良い?

そういう場合、かけてあげると良い言葉は、「そうなんだね。カミングアウトしてくれてありがとう」と伝えられれば基本的には良いと思います。そのうえで、その友人が何かに困っていそうだったり、何か言いたげだったら、「何かわたしにできることはある?してほしいことはある?」と尋ねてあげてください。

 

Q2. 友人に、LGBTの子がいる。どう接したら良い?

LGBTではない友人と同じ対応をしてください。LGBTだからといって、特別扱いをする必要はありません。

 

Q3. LGBTの友だちに告白された。どう答えれば良い?

LGBTではない友だちに告白されたときと同じ対応をしてください。もしあなたも友だちのことが友だち以上の意味で好きなら、「ありがとう、わたしも好きです。」と返せば良いし、友だち以上には思えない場合は「ありがとう。でも、わたしはあなたと友だちでいたいです。」と伝えてあげてください。

 

Q4. LGBTの人を好きになってしまった。どうしたら良い?

同じような当事者の人に相談してみてください。「相談機関・コミュニティ」に記載している団体が開いているイベントに参加したり、電話相談を利用して「こんな人を好きになっちゃったんだけど…」と話してみてください。または、「書籍」リストに記載している中に、LGBTの人が書いている書籍もありますので、それを読んでみるのも良いと思います。彼らがどのようなことを日ごろから考えているのか、触れてみてください。きっとLGBTの人を好きになったからといって、特別なことをする必要はないのだ、ということがわかると思います。

 

Q5. LGBTに対して、どうしても嫌悪感を抱いてしまう…。

それで大丈夫です。嫌悪感を取り除く必要は全くありません。それは、あなたの正直で大切な気持ちです。大事になさってください。重要なのは、その上で、あなたが実際にどのような言動を選択するかということです。

嫌悪感をそのまま表現しますか?それとも、嫌悪感はあなたの心の中にひとまず仕舞っておいて(そして信頼できる人の前で出してみましょう)、実際にLGBTの人を前にしたとき、または公の場のときには、違う選択をしますか?わたしは、あなたに、他者を傷つけない選択を取ってほしいと思います。

 

Q6. 同性の友だちへのスキンシップの中で、どこまでだと友人の範囲で、どこからだと同性愛になってしまうのか?

相手が同性であれ異性であれ、愛情も友情も、境にすべき基準は、あなたと相手、ふたりの了承の元に生まれます。あなたがこれ以上は嫌だと感じるのであれば、友人であろうと恋人であろうと、それ以上のスキンシップを許す必要はありません。

また、同じように、あなたが行う行為に対して、相手がどのような反応を取るのか、しっかりと見極めてください。言葉にしてくれることもあれば、態度で示してくれることもあるでしょう。大切なのはスキンシップではなく、コミュニケーションです。

そして、あなたがその友だちに対して持っている感情が、友情なのか、恋愛感情なのかは、あなたがあなた自身に問うしかありません。答えがなかなか見つからないときは、それ以上はひとりで悩まず、「相談機関・コミュニティ」に載っている相談先に電話してみたり、コミュニティに行って、スタッフの人とお話してみてください。

 

Q7. もともとLGBTではなくても、生きていくうちにLGBTになることはあるのか?また、その逆にはあり得るのか?

どちらも起こり得ることです。成長するにつれて食べ物の好みが自然と変わってくるように、セクシュアリティも自然と変化することは誰にでもあり得ます。

注意しなければならないのは、セクシュアリティはそうやって自然と変化するものではあっても、本人の意志であったり、他者の力によって、意図的に変えることが可能なものではないということです。実際、多くの当事者や精神科医が、セクシュアリティを意図的に変えるための様々な試みを行いましたが、成功した例はひとつもありません。

そのため、思いもよらぬ形で自分のセクシュアリティについて自覚することもあります。そのときは、まずは落ち着いて、信頼できる人や「相談機関・コミュニティ」にある相談機関に相談しましょう。

 

Q8. 自分がLGBTであることを、親にいつ、どのようにカミングアウトしたら良いのか?

次のことを確認してください。親にカミングアウトした際に、親が、あなたを家から追い出したり、ご飯を作ってくれなくなったり、監禁したりした場合、あなたは、あなた自身で、もしくは他の誰かを頼って、安全を確保することはできるでしょうか?あなた自身に自活する力はあるのか、金銭的に頼れる人はいるのか、監禁されたときに助け出してくれる人はいますか?まずはしっかりと確認してください。(※大げさに聞こえるかもしれませんが、実際に上記のような行為を親から受けた当事者たちがいます。)

それらを確認したうえで、「相談機関・コミュニティ」にある団体の主催するイベントに参加したり、電話相談などを利用して、ぜひ一度、先行く先輩たちに相談してください。一緒に戦略を練り、より安全な形で、親にカミングアウトしましょう。

 

Q9. 自分がLGBTではないかと思ったとき、病院などに行って、診断を受けた方が良いのか?

「あなたはLGBTです。」という診断は、病院では行っていません。(トランスジェンダーの人が、医学的な医療や手術を受けたいときには、「あなたは性同一性障害です。」という診断を病院で受ける必要があります。LGBTであることで悩んでいることを相談するために、カウンセリングを受けたり、主治医の医師に相談することは当事者の方もよくされていることです。)

 

LGBTじゃないかと思ったときは、ぜひ、「相談機関・コミュニティ」にあるような電話相談やコミュニティスペースに参加して、そのことを話してみてください。わたしもそうだったのですが、想像する以上にセクシュアリティの世界というのは奥が深く、最初に自分が思っていることとは違ったものの見方ができることもあります。ひとりで考えているだけじゃ、もったいないですよ。

 

Q10. なぜホモやレズが差別語なの?

 

ホモは、ホモセクシュアル(同性愛)の略語、レズは、レズビアン(女性同性愛者)の略語です。もともと、ホモもレズも、ただ略しただけで差別語ではありませんでした。しかし、長い歴史の中で、LGBTの人たちを揶揄したりバカにしたりする文脈の中で、ホモとレズが使われてきたため、その言葉自体に、とても悪い印象が付いてしまったのです。

ですので、できるならばあまり使ってほしくはありません。代わりに、ゲイやレズビアンといった正式名称を使ってほしいです。ですが、かといって、ゲイやレズビアンという言葉を、LGBTの人たちを差別するときに使ってしまっては、結局ホモやレズと同じ結果になりかねません。大切なのは、どんな文脈の中で、どのようにその言葉を使うのか、ということです。

※『オカマ』という言葉も、現在では差別語として認識されています。理由は、ホモやレズと同じく、LGBTの人を差別するときに使われてきたからです。